医療関係者向け情報

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母体血胎児染色体検査 informaSeq®

informaSeq®について

informaSeq®は、米国 Laboratory Corporation of AmericaR Holdings (以下、LabCorp社)およびラボコープ・ジャパンが提供する新型出生前診断、もしくは母体血胎児染色体検査や無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT: Noninvasive prenatal genetic testing)と呼ばれる検査です。次世代シーケンサーを用いて、母体血中のcell-free DNA(以下、cfDNA)をカウントし、対象となる21番、18番、13番染色体のトリソミーを検出します。

  • cfDNAは、血液中に循環している染色体から遊離した短いDNA断片のことです。
  • 妊娠中は、母体血中に胎児由来および母親由来両方のcfDNAが存在しています。
  • informaSeq®では、胎児由来のcfDNA量の割合が少ない場合でも判定できるように改良されたMassively Parallel Sequencing 法を用いています。1,2
対象疾患
  • ダウン症候群 (21トリソミー)
  • 18トリソミー
  • 13トリソミー
検体および検体採取時期
  • 全血:7mL以上
  • 検査適用時期:妊娠週数10週0日以降
適応例

対象となる妊婦は日本産科婦人科学会が定める「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」で設定されている下記の条件を一つ以上満たす必要があります。3

  1. 胎児超音波検査で、胎児が染色体数的異常を有する可能性が示唆された者。
  2. 母体血清マーカー検査で、胎児が染色体数的異常を有する可能性が示唆された者。
  3. 染色体数的異常を有する児を妊娠した既往のある者。
  4. 高齢妊娠の者。
  5. 両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座を有していて、胎児が13トリソミーまたは21トリソミーとなる可能性が示唆される者。
留意事項
  • この検査ではモザイク、部分トリソミー、もしくは転座を検出することはできません。
  • 双胎妊娠や体外受精(IVF)による妊娠の場合でも検査可能です。但し、品胎以上の多胎妊娠の場合は検証されていないため、検査できません。

検査結果について

結果報告
DETECTED
陽性
ANEUPLOIDY SUSPECTED
準陽性
NOT DETECTED
陰性
  • カットオフを2つ設定し、結果を「陽性(DETECTED)」、「準陽性(ANEUPLOIDY SUSPECTED)」、「陰性(NOT DETECTED)」のように3パターンで報告します。
  • 「準陽性」の場合、「陽性」結果と同じく、絨毛もしくは羊水による確定診断の実施が推奨されますが、「陽性」結果と比べて偽陽性となる可能性が高いと解釈されます。2
  • 「準陽性」と報告される割合は、ダウン症候群で0.6%、18トリソミーで0.4%、13トリソミーで0.2%です。2
検出率(感度)、特異度5
          検出率 特異度
ダウン症候群 99.14% 99.94%
18トリソミー 98.31% 99.90%
13トリソミー 98.15% 99.95%
  • この表では「準陽性」の結果を陽性として検出率および特異度が計算されています。

ラボコープ・ジャパンの出生前遺伝学的検査

ラボコープ・ジャパンではinformaSeq®だけでなく、母体血清マーカーを用いた非確定的検査や、絨毛もしくは羊水検体を用いた染色体分析による確定診断、FISH法やマイクロアレイ法による精査に至るまで出生前に行われる遺伝学的検査を一通り提供しています。また必要に応じて、認定遺伝カウンセラーが検査に関する質問への回答や、検査結果の解釈についての補足、有用な追加検査の提案など、出生前診断に係わる診療業務を包括的にサポートします。

非確定的検査 確定診断および精査
■ FirstScreen®
■ クアトロテスト®
■ informaSeq®
■ 母体血清αフェトプロテイン(MSAFP)
■ 羊水αフェトプロテイン(AFAFP)検査
■ 羊水アセチルコリンエステラーゼ検査
■ Rapid FISH™(間期核FISH)
■ 羊水染色体分析
■ 絨毛染色体分析
■ Metaphase FISH解析
■ 微細欠失症候群FISH解析
■ Reveal® SNPマイクロアレイ

検査受託要項

検査項目名 informaSeq®
検査時期 妊娠10週0日以降
検体必要量 全血 7mL以上
採取容器 専用採血管(black and tan)
検体の保存条件 常温
所要日数 7日~14日
(ラボコープ・ジャパンにて検体を受領した日より起算)
備考
  • 米国検査所受託時に検体採取から7日以上経過した検体は測定できません。
  • 検体中の総cfDNA量によっては検査ができないことがあります。4
  • 本検査は、Laboratory Corporation of America® Holdingsの子会社であるEsoterix Genetic Laboratories, LLC、Center for Molecular Biology and Pathology(米国)で実施します。
性染色体の分析について
  • 現在、欧米では性染色体の数的異常を調べる検査をinformaSeq®に追加して実施する事が出来ます。
  • 性染色体の数的異常は、種類によって検出率が異なります。
  • 日本では2015年1月時点で、日本産科婦人科学会が定める「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」により、性染色体の数的異常検出のための検査の指針策定には別途検討を要するとされていることにご留意下さい。3
参考文献

1) Fan HC, Quake SR. Sensitivity of noninvasive prenatal detection of fetal aneuploidy from maternal plasma using
  shotgun sequencing is limited only by counting statistics. PLoS One 2010;5:e10439.

2) Verinata Health, Inc. (2012) Analytical validation of the verifyR prenatal test: Enhanced test performance for
  detecting trisomies 21, 18, 13 and option for classification of sex chromosome status. Redwood City, CA.

3) 公益社団法人日本産科婦人科学会倫理委員会および母体血を用いた出生前遺伝学的検査に関する検討委員会「母体血を
  用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」 2013年3月9日

4) Futch, T, Spinosa J, Bhatt, S, de Feo E, Rava RP, Sehnert AJ. Initial clinical laboratory experience in noninvasive
  prenatal testing for fetal aneuploidy from maternal plasma DNA samples. Prenatal Diagn 2013: 33-569-574

5) Bhatt S, Parsa S, Snyder H, et al. Clinical Laboratory Experience with Noninvasive
  Prenatal Testing : Update on Clinically Relevant Metrics. ISPD 2014.