医療関係者向け情報

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FirstScreen®

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本検査は、超音波によるNT測定に関する米国もしくは英国での資格(FMFまたはNTQR)を有する医師から受託いたします。詳しくは弊社までお問い合わせください。

検査の目的

FirstScreen®(ファーストスクリーン)は母体血清マーカー検査の一つで、胎児がダウン症候群や18トリソミーに罹患している確率を算出する無侵襲的なスクリーニング検査です。母体血清マーカー検査は、これまでクアトロテスト®など妊娠第2三半期に実施されていましたが、FirstScreen®は妊娠第1三半期に実施することが出来るため、必要に応じてより早い時期により精度の高い検査を検討することができるようになりました。

検査方法

ダウン症候群と18トリソミーを対象とした妊娠第1三半期の母体血清マーカー検査は、母体血清中のヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)と妊娠関連血漿タンパク質(PAPP-A)を測定し、母体年齢とNT(Nuchal Translucency: 胎児後頸部浮腫)測定を組み合わせることで確率を算出します1)2)。 NT肥厚についてはダウン症候群を含む何らかの胎児異常の可能性が一般頻度より上昇するとされています3)
米国産婦人科学会(ACOG: American College of Obstetrics and Gynecology)では、NTは米国Nuchal Trancelucency Quality Review(NTQR)program、もしくは英国The Fetal Medicine Foundationの認定資格を持った医師または超音波検査技師などが測定する必要があるとしています3)。NT測定はFirstScreen®の確率算出にとって非常に重要であるため、ラボコープ・ジャパンでは検体受領時に上記の認定資格情報のご記入をお願いしています。

妊娠第1三半期の母体血清マーカー検査によるダウン症候群と18トリソミーの検出率は、それぞれ83%と80%です。検査実施の前後には被験者への遺伝カウンセリングを行い、検査後の絨毛染色体分析や羊水染色体分析などの選択肢についても情報提供することが推奨されています3)
ダウン症候群と18トリソミーを対象としたスクリーニング検査の比較については、以下の表1をご確認下さい。

表 1. 母体血清マーカー検査の選択肢 1)4)

検査項目 マーカー 検査可能時期 検出率
ダウン症候群 18トリソミー 開放性神経管奇形
FirstScreen® PAPP-A, hCG, NT CRL* 39 ~
84 mm**
83%1) 80% -
クアトロテスト® AFP, hCG, uE3, Inhibin A 妊娠週数
15週0日~21週 6日
81%1) 80% 80%

*CRL : Crown Rump Length(胎児頭殿長)
**このCRLは概ね妊娠11週から14週になりますが、検査の受託が可能かどうかはCRLの値が指標となります

日本人基準値について

FirstScreen®の確率算出に用いるPAPP-A、hCG、およびNTの基準値については、昭和大学医学部産婦人科学教室の協力を得て弊社所有の白人(Caucasian)基準値と比較検証を行い、日本人に適切なデータを用いています5)

結果解釈および限界

FirstScreen®は、胎児がダウン症候群および18トリソミーに罹患している確率を算出するスクリーニング検査です。スクリーニング陽性であっても、生まれる児が対象疾患に必ず罹患しているという意味ではなく、スクリーニング陰性であっても、対象疾患に罹患した児が絶対に生まれないという意味ではありません。また、対象疾患以外の先天異常についての確率を算出することはできません。開放性神経管奇形はFirstScreen®の対象疾患に含まれていないため、妊娠15週以降に行われる母体血清マーカー検査や羊水検査、超音波検査をご検討いただく必要があります3)

FirstScreen®検査要項

検査項目名 FirstScreen®
検体必要量 血清 1~3 ml
採取容器 プレイン採血管、または血清分離剤入り採血管
検体の採取条件
  • 弊社専用血清容器に血清を分離し提出してください。
  • 漏れないようしっかり蓋をお閉めください。
  • 溶血(ヘモグロビン濃度100mg/dl以上)の血清の場合、測定が出来ません。
保存条件 冷蔵
検査可能時期 CRL 39 ~ 84 mm
超音波測定によるCRLが39mm未満、85mm以上の場合は確率算出に用いる基準データがないため、検査できません。このCRLは概ね妊娠11週から14週になりますが、検査の受託が可能かどうかはCRLの値が指標となります。
測定方法 PAPP-AとhCGをCLEIA(Chemiluminescent Enzyme Immunoassay:化学発光酵素免疫測定法)にて測定。
所要日数 7~10日(ラボコープ・ジャパンにて検体を受託した日より起算)
特記事項

以下の臨床情報は確率算出に影響を与える因子です。検査依頼書に必ずご記入の上、検体と一緒にご提出下さい。

  • 妊婦の体重・生年月日・人種
  • 胎児エコーの実施日・CRL測定値・NT測定値
  • 家族歴(例:前児ダウン症候群など)
  • インスリン依存性糖尿病の有無
備考
  • 羊水穿刺後に採血された血液は検査に用いることができません。
  • 米国検査所受領時に検体採取から冷蔵で7日間経過した検体は測定できません。*
  • 双胎妊娠の場合、結果報告に制限があります。ダウン症候群の推定確率のみが報告され、18トリソミーの確率を 報告することはできません。
  • 本検査はLaboratory Corporation of America Holdings (米国)の子会社であるEsoterix Genetic Laboratories, LLCで 実施します。

*検体採取後に速やかに出検できない場合は、予めラボコープ・ジャパンの下記問合せ先にご連絡下さい。

母体血清マーカー検査に関する国内の通知

  • 厚生科学審議会先端医療技術評価部会・出生前診断に関する専門委員会「母体血清マーカー検査に関する見解」1999年6月
  • 日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」2011年2月
  • 日本産科婦人科学会「出生前に行われる遺伝学的検査および診断に関する見解」2013年6月
参考文献

1)Wald NJ, Rodeck C, Hackshaw AK, Chitty L, Mackinson AM. First and second trimester antenatal screening for Down’s syndrome: The results of the Serum, Urine and Ultrasound Screening Study (SURUSS). J Med Screen. 2003; 10:56-104.

2)Tul N, Spencer K, Noble P, Chan C, Nicolaides K. Screening for trisomy 18 by fetal nuchal translucency and maternal serum free beta-hCG and PAPP-A at 10-14 weeks of gestation. Prenat Diagn 1999;19:1035-1042.

3)American College of Obstetricians and Gynecologists Practice Bulletin 77. Screening for chromosomal abnormalities. Obstet Gynecol (2007) 109217-227.

4)Kagan, K. O., et al Ultrasound Obstet Gynecol 2008; 32: 488–4925.

5)J Hasegawa, et al. Distribution of nuchal translucency thickness in Japanese fetuses J. Obstet. Gynaecol. Res. 2012 Oct 29. doi: 10.1111/j.1447-0756.2012.02037.x. [Epub ahead of print]